一冊の本から始まる旅。ET的ブックスケッチvol.19『祖母姫、ロンドンへ行く!』編

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お姫様気質な祖母とのロンドン珍道中

「一生に一度でいいからイギリスに行きたい。お姫様のような旅がしてみたいわ」――『祖母姫、ロンドンへ行く!』(椹野道流/小学館)より

とある年のお正月のこと。親戚の集まりで問わず語りにイギリス留学の話をさせられていた孫娘に、八十歳を超えた“わがまま”祖母姫が爆弾発言!

高齢で病を抱えた祖母を心配する(そして彼女の唯我独尊っぷりを知る)叔父たちのフルサポートで整えられたのは、まさにお姫様のような五泊七日のイギリス旅。孫娘が任ぜられたのは、現地をよく知る若い秘書役。さあ、祖母と孫娘の夢のツアーが開幕します。

 

祖母と孫娘の主従関係

『祖母姫、ロンドンへ行く!』は、医師で作家の椹野道流さんが、若かりし頃にお祖母さまと共にイギリスを旅した思い出をつづった一冊。

美意識が高く、きらめく自己肯定感を武器に周囲を従わせてしまう「お姫様」のような祖母。まだ人生の道半ば、キャリアも人間関係も迷いの多い「小娘」だった椹野さん。二人のコンビは祖母と孫というより、「金持ちの老婦人と秘書」。一流ホテルのバトラーにも血のつながった親族とは見抜かれなかった(おそらく)ほどの徹底した主従関係っぷりです。

出発する空港でのお買い物の時点ですでにこれからの行程を想像して震える椹野さん。しかし、旅の随所で祖母姫さまからの薫陶を受けることになります。

 

悩み多き孫娘に、祖母姫さまからの貴重な薫陶

「もっと綺麗になれる、もっと上手になれる、もっと賢くなれる。自分を信じて努力して、その結果生まれるのが、自信よ」――『祖母姫、ロンドンへ行く!』より

空港でも、ホテルでも、レストランでも、デパートでも、祖母姫さまは堂々と自分の希望を主張し、その場を楽しもうとします。そのたびに冷や汗をかかされる秘書役の椹野さんですが、ある晩、ベッドで力尽きた祖母姫さまのメイクをコールドクリームで落として差し上げながら、「なぜおばあちゃんはそんなに自信があるの?」と聞きます。

信じられないほど高い自己肯定感の裏にあったのは、日々のたゆまない努力。ふるさとから遠く離れた異郷の地にいるというシチュエーションが、ふだんは疎遠な祖母と孫娘に心を開かせたに違いありません。

 

お姫様のような祖母と、秘書のような孫娘。なんだかメルヘンチックな二人が織りなす珍道中、どうぞお楽しみに。

 

 

WRITTEN BY

梅津 奏

Kana Umetsu

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