薪火が引き出す、信州の山の恵み。野沢温泉【mont】で過ごす美食の夜

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『火と水』の循環を表現した宿【mont】

2026/1/19改行の宿【mont】

湯けむりが漂う坂道を歩き、共同浴場をのぞきながら、温泉まんじゅうを片手にそぞろ歩く。

長野県の野沢温泉村では、そんな昔ながらの温泉街の風情を残しながら、感性に響く滞在体験にも出会うことができます。

村のメインストリートに位置する【mont(もん)】は、『火と水』をコンセプトにしたブティックホテル。

土地の循環や自然とのつながりを、滞在を通して静かに感じることができる、築100年の旧旅館を再生した空間の魅力とは?

土地の循環を再現する空間で自然のつながりを感じる

囲炉裏の上には水を想起させるガラスアート

野沢温泉では、山に積もった雪がやがて湧き水や温泉となって村へ巡り、ブナの木々は冬の道祖神火祭りで火を灯すやぐらに。

山からの恵みが水となり、火となり、人々の暮らしへと還っていく。

【mont】は、そんな土地の循環が空間全体で表現されています。

 

自然素材を使った壁面のアート

築100年の旧旅館をフルリノベーションし、2026年1月19日にグランドオープンされた【mont】。

宿の扉を開けると迎えてくれるのは、水をイメージしたガラスアート、動物の肉体から作った顔料や自然素材を使った壁面のアート。

その奥には、水と静寂をテーマにした客室が広がります。
木のぬくもりと静かな空気に包まれて。

薪火が引き出す、信州の山の恵み

「mont restaurant」のカウンター席

1階に併設された「mont restaurant」は、この宿のメインダイニング。全22席の落ち着いた空間で、宿泊者だけでなく、食事のみの利用も可能。

ブナの森や道祖神火祭りの火を想起させる薪火グリラーを導入。

揺らめく炎を眺めながら、シンプルかつ力強い薪火の仕上げで味わうことができる生産者の顔が見える肉や野菜は格別。

 

寺島惇シェフ

料理を手がけるのは、六本木「le sputnik」の高橋雄二郎氏、和歌山「Hotel de Yoshino」の手島純也氏に師事し、フランス留学を経て、代々木公園「PATH」で料理長を務めた寺島惇シェフ。

信州・野沢の山や森が育む旬の食材と、薪火という最も原始的な調理法。
その出会いから生まれる一皿を、新旧が交わるこの建物の静かな時間の中で味わって。

 

おやきとタルトの前菜

コースの始まりは、信州らしさを感じるおやきから。

ジャガイモを使った生地にフレンチのエッセンスを加え、中には信州地鶏と、村の山で採れたとうたち菜を忍ばせて。
一口かじると、温かな香りと野菜の甘みがふわりと広がる。

タルトには、新玉ねぎのピューレを詰め、ホタルイカとうるいをトッピング。
薪火の香ばしさが、春の海と山、それぞれの食材をひとつにまとめあげる。

 

2種類の信州サーモンを使ったひと皿

信州サーモンを使ったひと皿も印象的。
薪火で炙ったものと昆布締めにしたレアの2種のサーモンに、紅八朔とヨーグルトのソース、雪下人参のムースが寄り添い、それぞれ異なる甘みや酸味を描きいていく。

水を思わせる器は地元作家によるもの。
コースの序盤から美味しさと美しさが畳み掛ける展開。

 

鯉、山うど、せりを春巻きの皮で巻いた料理

鯉、山うど、せりを春巻きの皮で巻いた料理には、ラオス味噌を添えて。

野沢温泉の山菜文化に、どこか異国のニュアンスが重なり合う。

普段なじみの少ない鯉という食材も、丁寧に仕立てられた料理を通して、美味しく味わえるはず。

 

菜の花とみゆき卵を使った洋風茶碗蒸し

菜の花とみゆき卵を使った洋風茶碗蒸しには、薪火で香りをまとわせたアスパラガスとホッキ貝を合わせて。

みゆき卵は、長野県飯山市の吉越養鶏場で生産されるブランド卵。
黄身と白身の輪郭がしっかりとしていて、濃厚な旨みが料理全体をしなやかに支える味わい。

 

薪火で焼き上げた鰆

魚料理は、薪火で焼き上げた鰆。皮目は香ばしく、身は驚くほどふっくら。

焦がしバターでじっくり火を入れることで、春の山菜特有のほろ苦さと旨みが際立つエチュベとも相性抜群。

 

みゆきポークのメイン

肉料理には、長野県北信濃エリアで限られた農家のみが育てるブランド豚・みゆきポークを使用。

じっくり薪火で焼き上げることで、身の密度を感じるしっとりとした質感は、噛むほどに上品な甘みが広がり、薪火の香りが余韻として残る。

筍や新玉ねぎ、自家製の結晶塩と塩麹のタレが、豚肉の旨みをさらに引き立ててくれる。

 

いちごのバシュラン

デザートは、いちごのバシュラン。

薪の香りをまとわせたいちごとバニラアイスが重なり合い、コースの最後まで、この宿の『火と水』という一貫したテーマが感じられる。

 

ミニャルディーズ

ミニャルディーズには、ジュワッとするほどしっとりしたバスクチーズケーキと、「野沢温泉蒸留所」のクラフトジンに漬け込んだジンレーズンのバターサンド。キレのある香り、新しくも間違いない美味しさにハッとする構成。

一貫して、この土地らしさを感じるコースはこの場所を訪れた意味を再確認できそう。

野沢温泉の山の恵みを中心に、地元食材を薪火で引き出した料理の数々。
土地の空気や季節を映し出すようなコースは、旅先で過ごす夜を豊かに彩ってくれる特別なエクスペリエンス。

また、料理に合わせて、ナチュールワインとのペアリングを楽しむのもおすすめ。
バータイムの営業もスタートしたので、オリジナルカクテルなども用意されており、ディナーの余韻にゆっくりと浸るも一興。

グリーンシーズンに訪れたい、野沢温泉村

【mont】の入り口

13の外湯と呼ばれる共同浴場が点在している野沢温泉村。

山々に囲まれた自然豊かな環境では、春から初夏にかけて山菜も豊富に採れ、古くから人々は山の恵みとともに暮らしてきた歴史もあります。

国内有数のスキーリゾートとして知られる一方で、グリーンシーズンの魅力も深く、雪に包まれた冬とは異なり、この季節の野沢温泉には、ゆるやかに街を歩きたくなる静けさも魅力。

心地よい気候のなか、外湯を巡り、温泉まんじゅうやおやきを頬張りながら坂道を歩く。
あるいは、宿のアクティビティに参加して、山菜採りへ出かけても。

東京から新幹線とバスを乗り継ぎ、約3時間弱。

都心を離れ、自然と温泉文化が色濃く残るこの村へ辿り着けば、そこで待っているのは、『火と水』というコンセプトを、薪火フレンチのコースで鮮やかに表現した「mont restaurant」でのディナー体験。

宿泊とあわせて訪れてみては?

 

 



WRITTEN BY

岩井なな

Nana Iwai

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