服を通してメキシコの自然の大切さを伝えたい
センパスチル(メキシコのマリーゴールド)がデザインされたトップス
大胆にプリントされた植物のプリントに、美しいアースカラー。
【Pol&Pol】の服にはアートのような美しさがある。それもそのはず、彼女たちは自分たちの服を『身につけるアート』と呼ぶ。
テキスタイルを学び、その魅力に取り憑かれたアンドレアとメキシコの生植物をモチーフにビジュアルアーティストとして活躍するルシア姉妹が立ち上げた、来年10年目を迎えるブランド、【Pol&Pol】の魅力とは?
写真提供:Pol&Pol
彼女たちのデザインのインスピレーションの源。
それは、彼女たちが住むベラクルス州にあるニエブラの森に生息する動植物。
街の中心地から少し離れた場所にある工房
そしてすべてが一点ものである理由、それは模様を木版に彫り、プレス機で布に印刷。ひとつひとつ手作業で行われるから。
今回はベラクルス州ハラパにある工房で、アンドレアからお話を伺いました。
「身につけるアート」に込めた哲学

「私たち姉妹はここベラクルス州ハラパの郊外で育ちました。
まわりに家はほとんどなくて、すぐそこに森、川、牧場があった。そんな自然が私たちの感性を育んでくれたと思います。
でも年々人口が増え、商業化が進み、自然環境が悪化していくことを目の当たりにしてきました。
私たちを育んでくれたニエブラの森の大切さをアートを通じて伝えたい。
アートには人にメッセージを届け、感受性を揺さぶる力があると考えています。
服は自然な形でその思いを人に伝えることができたり、意識を促せたりするものです。だから私たちは自分たちの服を『身につけるアート』と呼んでいます」
リアルなデザインへのこだわり
ベラクルス州固有の蘭がデザインされたトップス
Pol&Polの服に描かれる植物はとても写実的。
一言でいうならば、デフォルメされた可愛さとは違った美しさ。
「この花がビジュアル的にかわいいから、といった理由でデザインに選ぶことはありません。
たとえばこれは、死者の日(日本でいうお盆にあたる)の祝祭が行われる11月にベラクルス州で見ることができる蘭の一種です。
死者の日と言えばセンパスチル(メキシコのマリーゴールド)が有名だけど、それ以外にも本当に多種多様な生態系があるんだということも伝えたいんです」

絶滅危惧種のセラトザミア(ソテツ科に属するメキシコ原産の植物)をデザインしたものや、伝統工芸に使用されるヤシの葉をデザインしたものも。
メキシコの伝統的な服作りのイメージは、反対色を選んで刺繍などが施されるものの多さ。
そうした服と比べるとPol&Polの色合いはとてもシンプル。
「土の茶色や木々の緑色、石のターコイズ色など、自然に近い色を使うことが好きなんです。
販売されている既存の色をそのまま使うことはありません。
ルシアが中心になり混ぜ合わせることで独自の色を作り出します」
試し刷りされた花や葉、虫の模様
「私たちの服作りはシンプル。裁断も凝ったものはありません。
それはデザインが美しく見えるために、あえてそうしているんです」

植物が大胆にプリントされ、存在感を示すのも特徴の一つ。
人の好みと自分たちのスタイル

「一般的にメキシコ人女性は体にフィットした服を好みます。
だけど私たちはメキシコの伝統的なウィピル(貫頭衣)の作りを継承したいことや、手作りのあたたかさが出るシンプルなフォルムが好きなことから、今のスタイルでこれまで作ってきました。
今後ビジネスを成長させるためには、マーケティングや経営的な観点から、自分たちの好みとは違う需要に応えていくことも模索中。
私たちの自然環境への思いや哲学は変わらないけれど、そうした変化を取っていくことも必要かなと思っています」
自然を纏うような気持ちになる彼女たちの服は、きっと誰もが心も体も喜ぶ感覚を覚えるはず。
それはきっとデザインされた植物が、彼女たちにあたたかい眼差しを向けてもらえたことを誇らしく思っているから。
美しいこだわりのメキシコの服、オンラインショップから海外発送も可能なのでぜひ一度袖を通してみて。
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